もらったペンとノートで計算や名前を書くインドの小学生たち。日本のBOPビジネスの成否は彼らもカギを握る(関西経済同友会提供)【拡大】
立ちはだかる現実
しかし、BOPビジネスの成功例はまだ少ない。国内機械メーカーの関係者がこう打ち明ける。
「新興国市場では、必ずといっていいほど現地政府の許認可が求められる。そのためには、日本政府やJETRO(日本貿易振興機構)などの協力が不可欠になってくる」
日本企業が単独で乗り込み、BOPビジネスを始めても容易に受け入れられない。成否のカギを握るのは現地のパートナーだ。
前出の関係者は「徹底した情報収集は当然。その上で、短期的に利益を上げるような考えを捨て、現地の成長に貢献する覚悟が求められる」と強調する。
サムスンなど韓国勢の成功の裏には、徹底した現地の社会習慣や文化、トレンドの情報収集があったとされる。現地の人間を重要ポストに就かせ、「組織の現地化」と双方の成長に力を注いだという。
ただ、そのためには多大な時間と投資が必要だ。関西経済同友会の視察に参加したソフトウエア開発会社を経営する男性も「電力が不安定で、道路が舗装されていない。このままでは、インドへの進出は無理だと感じた」と明かす。
その土地と、人間の成長を支える-。そんな気持ちがなければ、BOPビジネスの成功は難しい。(内海俊彦)