「今日も誰かに会えるかなぁ」という期待でバールに足を運ぶ人が減っているわけだ。 変化はまだある。
ぼくが20年以上前にイタリアに住み始めて驚いたのは、若者と年寄りが対等に雑談する光景だった。郵便局の窓口や駅の発券売り場で順番を待ちながら、50歳も離れていそうな見知らぬ同士がお喋りをしていた。
「バールの店内を観察してもね、年寄りグループと若者グループが交わることって少なくなっているわ。同じ世代の見知らぬ人とは話すのにね」
チマトリブス氏は風景の変貌をこう語る。この世代間の沈黙も都会のほうが目につく。
とすると「年寄り文化」に居心地の悪い若者は、どこに自分たちの居場所をみつけるのか。
夕方からはじまるサービスにハッピーアワーがある。イタリアでは特にミラノで盛んだ。デザイン系カフェが力を入れているが、飲み物をグラス単位で提供し、ビュッフェスタイルで食べ放題のところが多い。若者はこのタイプの店が集まっている地区に遠くからでも出かける。
他方、昔ながらのバールは調理施設が整っていないこともあり、この種のサービスに熱心ではない。ここにも若者の足が地元のバールから遠のく背景がみえる。
余談だが、このハッピーアワーにおいて飲まれるお酒は圧倒的にカクテルでありビールである。スプマンテ(発泡性白ワイン)が少々。コスパが重視されている。するとワインが落ちる。
イタリアのイメージが裏切られたのではないか?