安倍晋三首相は24日、一連の訪米日程を終え、帰国した。焦点の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉参加問題に関して、日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提ではなくなった」(首相)と確認できたため、25日から政府・与党内調整に着手し、交渉参加に向けた動きを加速させる。
菅義偉官房長官は24日のNHK番組で、TPP交渉参加の表明時期について「そんなに長引かす必要はない」と述べ、首相が週内にも表明するとの認識をにじませた。政府内には今月28日か3月1日に想定される国会での首相の施政方針演説で表明する案も浮上しているが「首相が25日、自民党役員会に経過を報告し、その状況次第だ」と述べるにとどめた。
安倍政権がTPP交渉の参加に積極的なのは、経済政策「アベノミクス」の第3の矢となる成長戦略の実現に弾みとなるからだ。経済界や市場関係者からも「日本の懸念材料が払拭された。大きな前進だ」(経団連の米倉弘昌会長)と評価する声が相次いだ。TPPに加われば輸出産業の競争力強化や貿易・投資ルールの国際化による規制緩和が見込める。