シンガポールで昨年、外国人労働者の新規就労が7万400人と前年比で17%減少した一方、国内就労者が56%増の5万9200人と大幅に増加した。政府による外国人労働者の規制策が実を結んだ形だが、少子化が進む中、将来的な労働力不足を不安視する企業もある。現地紙トゥデーなどが報じた。
同国ではここ数年、移民に対して国民の反発が強まり、政府が労働査証の審査強化や家族の滞在条件の厳格化など、外国人労働者の流入規制に乗り出している。一方で、同国は少子化が進んでおり、12年も女性1人当たりの生涯出産数を示す出生率は1.3程度にとどまったとみられている。外国人労働者の規制が続けば少子高齢化にともない労働人口が減少し、経済活動に悪影響を及ぼす可能性がある。
同国で労働人口の7割が就業し、国内総生産(GDP)の約50%を占めるとされる中小企業ではすでに人材確保に苦心する企業が続出しており、シンガポール中小企業協会によると、12年中に1%の中小企業が人材難で事業からの撤退を余儀なくされたという。