そろいの白いポロシャツを着てハタキを手にほほ笑む女性や子供をあやす女性。昨年5月、プノンペンで開業したカンボジア国内向けメイド派遣会社ミンホー・ホームサービスの看板には、「プロフェッショナルな家事労働」を意識した写真が並ぶ。同社によれば、国内市場向けにメイドやベビーシッターなど家事労働者を専門的に派遣する業者は初めてという。
雇用ミスマッチ
「若い労働力が豊富」というイメージのカンボジアだが、国内ではメイドや工場労働者を中心に国外への出稼ぎが急増し、国内で家事労働を担うメイドなどが不足している。同社幹部のキン・ビアスナさんは「特に首都プノンペンでは、メイドやベビーシッターがなかなか見つからない状態です」と言う。
ビアスナさんによると、国外出稼ぎのほかに、国内に適正な雇用マッチングシステムがないこともメイド不足の原因だ。
労働市場の中心はプノンペンなど都市部だが、潜在的な労働者の多くは地方の農村地帯に住む。就職は、親類や知り合いのつてがなければ、民間の斡旋(あっせん)業者に頼るしかないが、国内市場の情報は少なく、地方在住者の職探しは簡単ではない。