「このたびの北京での煙霧について、私はことのほか喜んでいる。こんなに楽しかったことはない。特権階級の連中は特別な水を飲んでいるというのに、今度ばかりは特別な空気なんてものはないのだ。家に帰れば、女房子供から同じように文句を聞かされているのだから」
市場経済の勝ち組である特権階級には海外脱出という「奥の手」があるものの、国にとどまる限り、誰も呼吸を止めて大気汚染から逃れることはできない、という道理である。
当たり前に聞こえるが、毛沢東が説いた「絶えざる階級闘争」(継続革命論)によってではなく、大気汚染によってのみ、逆説的な形で人民の「平等」が実現されたという中国の現実は、あまりにも重すぎないだろうか。(産経新聞中国総局長 山本秀也)