USTRの背後にいる「TPP支持米国企業連合」の顔ぶれを見ればよい。金融、通信、石油、建設、航空機、情報技術(IT)、医薬品、農業ビジネスなどの大手がひしめいている。そして官民ともども投資家対国家の紛争解決(ISDS)条項や医薬品などの知的財産の権利強化に重点を置く。
日本国内ではISDSについて、海外の投資家から訴えられると、国内法が通用せず、国際紛争処理機関の場で莫大(ばくだい)な損害賠償をのまされるという被害者意識に染まっている。
ISDSは知的財産権ともども、国際ルール無視の中国に対する日米共同の武器にできる。その方向に向け、ISDSを日本にとって運用しやすい形に持っていく攻めの策略をこらせばよい。
だが、日本メディアの自虐史観に乗じた交渉相手国から攻め込まれる日本の通商交渉団は防御に汲々(きゅうきゅう)となりそうだ。
「聖域」=「鎖国」のデマをわが同業メディアから一掃して初めて、TPPを最大限活用できる道が開けると考え込まされる。(産経新聞編集委員 田村秀男)