激化する争奪戦
地元労働者を確保するため、カンボジア国内の建設会社は賃金引き上げを迫られている。現在、建設労働者の1日の賃金は4ドル50セント程度といわれ、この1年で1.5倍に跳ね上がった。さらに現場に寝泊まりできる簡易宿舎を用意するなど、労働者争奪戦は激しさを増しているという。
それでも、「1日で10ドル稼げる」とされるタイへの流出は止まらない。タイ国内には現在、合法と違法を含め、約30万人のカンボジア人が移民労働者として暮らしているとされる。建設労働者に限らず、工場労働者やメイドとして外国で働くことを選ぶカンボジア人は増えており、国内の労働市場は軒並み労働者不足にあえいでいる。たとえば縫製業界では約70万人が働いているが、「さらに5万人の労働者が必要」(カンボジア縫製業協会)という。
フン・セン首相も、労働力流出が経済発展を妨げることを懸念し、国内経済界に対して賃金引き上げなど労働環境の向上に努めるよう、たびたび訴えている。(在カンボジア・ジャーナリスト 木村文)