しかし、4月に日銀が打ち出した「異次元緩和」によって潮目が変わった。新たに発行する国債の約7割を政府が買い取る施策の結果、思惑通り円安は進み、野田佳彦首相(当時)が衆院解散を表明した昨年11月14日の80円24銭が5月10日には100円を突破、現在97円台で推移している。
ただ、狙いとは裏腹に住宅ローン金利の指標となる長期国債の利回りが上昇。5月には、大手銀行が住宅ローンの固定金利を引き上げた。6月の10年固定の金利は3.800%(優遇前)で、4月と比べて0.25ポイント上昇している。
金利上昇が続けば、変動金利が現在の固定金利の利率を上回る日が来るかもしれない。これ以上、金利が上昇する前に固定金利に借り換えるべきか-。
コンサルティング業「住まいと保険と資産管理」(東京都千代田区)。住宅に関する相談は今年に入り、前年同期比5割増で推移している。住まい部門の飯田敏(さとし)マネジャー(49)は「安倍政権の経済施策による金利上昇を懸念して、相談に来る人が増えているようだ」と分析する。