【ビジネスアイコラム】
安倍晋三政権が進める経済政策「アベノミクス」に対抗したのか、中国で最近、李克強首相が主導する経済政策を「リコノミクス」と呼び、関心を呼んでいる。
「影の銀行(シャドーバンキング)」問題など金融リスクが懸念される一方、実体経済の先行き不安が広がる中、「次の一手」を李首相がどう打つかに市場の関心が集中している。英金融大手バークレーズキャピタルが、「リコノミクスに何が期待できるか」とする経済リポートを公表。これを国営通信新華社通信が取り上げ、新語として中国で浸透しつつある。
中国語の表記でアベノミクスは「安倍経済学」。リコノミクスは「李克強経済学」で、中国版アベノミクスとの呼び声もある。ただ、景気浮揚を強く打ち出したアベノミクスとは対照的に、リコノミクスは、簿外で資金を高利調達して信頼度の低い借り手に貸し付ける「影の銀行」をはじめ、地方政府が抱える水面下の“巨額不良債権”処理など、経済のゆがみを正すことに重点を置く。中国経済の成長失速など、痛みを伴う可能性も大きく、その面から、リコノミクスは「後ろ向き」にならざるを得ない。