各国とも自国産業を保護したい思惑があり、自国企業を優遇する裁量の大きいベトナムやマレーシアは特に慎重姿勢が強い。
原産地規則は、原材料から完成品までの生産工程がいくつかの国にまたがる産品を、どこまでTPP参加国の輸出品として関税撤廃の対象とするかが課題だ。縫製品では、糸から完成品まで域内で製造された産品のみを主張する米国と、原材料の多くを域外の中国から輸入しているベトナムが激しく対立している。
今回、最大の焦点である関税撤廃を話し合う市場アクセスの作業部会に日本の参加は間に合わなかったが、「各国の利害が複雑に絡み合って交渉は進んでいないようだ」(交渉筋)。
日本がコメ、麦、牛・豚肉など重要5分野の関税死守を掲げる農産品では、牛肉や乳製品に強みを持つオーストラリアとニュージーランドが関税撤廃を強硬に主張。カナダは競争力の劣る乳製品、米国は砂糖の関税維持を訴えているとみられる。
協定の原案文書「テキスト」では難航分野について各国の主張を並べているだけで、「協定案にまでまとめるのはまだ時間がかかる」(交渉筋)。日本が自国に有利な形で交渉を主導できるかは、水面下の2国間交渉で多数派工作に成功できるかにかかっている。(コタキナバル 会田聡)