安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」効果が雇用分野にも波及し始めた。総務省が30日発表した6月の完全失業率(季節調整値)は3.9%と4年8カ月ぶりに3%台へ改善し、厚生労働省発表の有効求人倍率も0.02ポイント上昇の0.92倍と4カ月連続で上昇した。
財務省が30日開いた全国財務局長会議では、4~6月期の雇用情勢判断が全国11地域中7地域で上方修正された。円安に伴う企業業績の持ち直しで、自動車など製造業を中心に採用意欲が高まったのが背景だ。
6月の完全失業率は前月比0.2ポイント低下した。改善は3カ月ぶりで、3%台となるのは、2008年10月以来。失業率は男性が前月比0.1ポイント低下の4.1%、女性は0.4ポイント低下の3.5%。女性の改善が目立ったのは「サービス業などでの採用増に加え、夫の給与や雇用が良くなり、職探しをやめる主婦が増えた可能性がある」と、第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは指摘する。
6月の有効求人倍率は08年6月以来5年ぶりの高水準となった。主要産業別の内訳では、円安で外国人観光客が増えた宿泊、飲食サービスが前年同月比13.5%増と伸び、製造業も0.8%増と、1年1カ月ぶりに増加に転じた。