カンボジアへの外国からの直接投資(FDI)が急拡大している。国連貿易開発会議(UNCTAD)が発表した最新の世界投資報告書によると、2012年の対カンボジアFDIは、前年比73%増の16億ドル(約1570億円)に達した。しかし一方では、インフラの未整備などを理由に今後の投資拡大を疑問視する見方もある。現地紙プノンペン・ポストが報じた。
カンボジアへのFDIが拡大した背景として、縫製業や製靴業の生産拠点が中国や台湾から安価で豊富な労働力を持つカンボジアへシフトしている現状がある。カンボジアの労働賃金は中国の約3分の1だ。
カンボジア経済協会のチャン・ソファル会長は「製造業に加え、電子機器産業や農業、観光分野でもさらなる投資が見込まれる」と期待を示している。
とはいえ、多くのエコノミストは今後のカンボジアへのFDI拡大に同意を示しながらも、高額な電気料金や熟練労働力の不足などから、特に製造業において投資拡大は壁に直面していると指摘する。
英リスク評価会社のメープルクロフトによると、ベトナムやタイと比べてカンボジアへの投資リスクは高いとの位置付けで、現地特有の商習慣、汚職や官僚主義の横行が投資の障壁になっていると分析している。(シンガポール支局)