日本貿易振興機構(ジェトロ)は8日、今年上期(1~6月)の日本企業などからの東南アジア諸国連合(ASEAN・10カ国)向け直接投資が、前年同期比で55.4%増の102億ドル(約9850億円)と上期で過去最高になった、と発表した。中国向けの2倍超に膨らんだ。
中国向けは31.1%減の49億ドルだった。人件費の高騰や日中関係の悪化を背景に生産拠点の脱中国が鮮明になった。
ASEAN最大の投資先はインドネシア。世界第4位の消費市場を持つインドネシアでは日系自動車メーカーの新工場や拡張ラッシュが続く。7月にトヨタ自動車やスズキがそれぞれエンジン新工場や四輪エンジン組立工場の増設を発表。これに伴い部品や素材メーカーの進出が加速する。ベトナムでも日系事務機器メーカーの生産台数が中国を上回る。すでに日系企業が多く進出するタイへの投資も増加している。
ジェトロは「中国リスクの高まりを背景にASEANシフトが数字上で示された」(梶田朗国際経済研究課長)と分析。今後、円安でも当面はASEAN投資の勢いが続くとみている。