金融緩和の目的は金利を低下させて銀行貸し出しを増やすことです。なので、金融緩和でまず恩恵を受けやすい銀行株が上昇します。実際、今回の金融相場でもドイツ銀行をはじめとする主要銀行株が株価を牽引していきました。
今のユーロ圏経済は、光が見えてきたところです。ユーロ圏のGDP(国内総生産)の約2割を占めるドイツ経済が回復し始めているからです。今年1?3月期のドイツの個人消費は、0・8%増(前期比)と拡大傾向にあります。
そこに積極的な金融緩和が加わり、ユーロ圏経済は回復の素地が整いつつあるのです。ただ、忘れてはいけないのが、ギリシャ、イタリア、スペインなどの財政懸念問題は解決していないということです。
資本市場には、「お金持ち国であるドイツが、これらの国々をユーロ共同債(国債を発行できないような債務国の危機を、経済的に余裕のある国が助ける仕組み)を通じて救済するだろう」という思惑が流れているため、特に問題視されていないだけです。