そのため586品目の中で優先順位を付け、商品価値が低く生産者の利益が少ない品目を選ぶことで5分野を「聖域」として守る戦略に踏み切った。
日本は経済連携協定(EPA)で586品目の関税を一度も撤廃していない。だが、TPP交渉では新興国の一部が年内妥結に後ろ向きな姿勢を示しているため、米国とともに協議を主導する日本の立場を示して交渉の進展を図る狙いがあるとみられる。
自民党の石破茂幹事長は7日、党本部で記者団に対し「細目の中で(関税撤廃を)検討するものがあれば検討する。党の公約を変更するという意味ではない」と述べ、5分野の関税を完全に撤廃することはないとの考えを強調した。インドネシア・バリ島を訪問中の西川公也党TPP対策委員長も7日、記者団に「日本の農業が将来に向けて発展できるというモノは残したい」と述べた。
政府は3月の交渉参加表明後、国内で栽培の実績が乏しい麦の一部など、関税の効果が薄れている品目の洗い出しを自民党とともに水面下で進めていた。関税撤廃の品目については農家の収入減を緩和する措置や生産力向上に向けた支援策を講じ、影響を最小限にとどめる考えだ。