例えば、65歳以上の高齢者全員に毎月20万ウォン(約1万8千円)を支給するとした内容だったが、実際には財源不足で、支給対象は全体の7割の低所得者に限定。支給額も修正した。このほか、大学授業料の半額化は見送られる方針で、高校教育の無償化も17年の実現、0~5歳児の乳幼児教育費の無償化も修正の可能性が取り沙汰されている。社会的弱者に対する施策はすべて財源が不足している。
ねじ曲がった殺人者があふれる社会と、お年寄りら弱者が暮らしにくい社会。いずれも韓国社会が抱える“歪み”を象徴している。
身勝手な行為
昨年6月、大阪・心斎橋で男女2人が刺殺された通り魔事件。殺人などの罪で起訴された栃木県出身の礒飛京三被告は犯行後、身勝手な供述を繰り返した。
「自殺しようと思ったが、死にきれなかった」
「人を殺せば死刑になると思った」
自殺を図ろうとした形跡はなく、あてにしていた仕事の当てがなくなり、自暴自棄になり、衝動的に犯行に及んだとみられているが、逮捕後には「事件前夜から幻聴が聞こえ始めた」などと供述したという。
身勝手な態度だが、こうした犯罪はいつ、どこで起きるかは分からない。韓国社会で起きていることを、人ごととして捉えてはならない。