■条件闘争
政府は、農産品の関税撤廃が避けられない情勢のTPP交渉の妥結に備え、コメ農家の競争力を高める構造改革を目指している。
10月31日、コメ政策に関する自民党の会合。コメの価格を維持する生産調整の廃止など農水省が示した見直し案に、一部からは「これではコメを安定供給できない」と反発の声も出た。しかし、農林族のベテラン議員は半ばあきらめ顔で、こう打ち明ける。
「TPPもなく、突然、『減反廃止』と言われたら大げんかしていた。だが、TPPは国益だから減反も仕方ない」
それでも、党内には「農家は補助金なしではやっていけない」との声がくすぶる。TPPに減反見直しも絡めながら、農家に対するさまざまな名目の補助金を勝ち取ろうという条件闘争の動きも見え隠れする。
公約で掲げたTPP交渉をめぐっても5分野死守を果たせなければ、自民党支持だった農業団体などから「公約違反」と突き上げられるのは確実だ。
若手の一人は、党の公約が後退していると不満を持ち、「その時は腹をくくっている」と漏らす。5分野が死守できないとなれば、農林族の一部が西川氏らと一線を画し先鋭化に走ることも予想される。