さらに安倍首相が積極的な金融緩和論者の黒田東彦(はるひこ)氏(前アジア開発銀行総裁)を白川氏の後任に送り込み、政権と日銀の協調関係は決定的に強まった。安倍首相の期待に応え日銀は4月に資金供給量を2年で倍増させる異次元の金融緩和を導入。企業や個人の心理も大きく改善した。
日銀は足元の景気を「緩やかに回復している」(黒田総裁)と評価し、消費者物価指数(生鮮食品を除く)も9月まで4カ月連続で上昇している。
ただ、民間エコノミストの間では「2年で2%程度」という日銀の物価上昇目標に関して懐疑的な見方が多い。これに対し黒田総裁は「リスク要因に変化が出れば、必要な調整を行う」とし、追加の金融緩和も辞さない構えだ。
だが、国の新規発行額の約7割に相当する大量の国債を市場で買い入れる異次元緩和が市場で財政ファイナンスと受け取られれば、長期金利の高騰を招きかねず、日銀は追加緩和に動きにくい状況だ。
それでも物価目標から遠ざかれば、再び政府から追加緩和の圧力が強まりかねず、安倍政権と“蜜月”関係を続ける日銀は難しい判断を迫られる。