裕福な者は衛星放送を契約しており、英国のプレミアリーグや米国の大リーグ、さらには日本のNHK国際放送も見ることができる。冷蔵庫はそこまで行き渡ってはいないが、私に冷蔵庫から冷たいミネラルウオーターを出してくれた家もある。
ただし、資本財としての冷蔵庫の役割は氷や既製のアイスクリームを売る商店の業務用の冷蔵庫に取って代わられた。こうした電化製品の大衆化によって、今はビデオも冷蔵庫も商売道具ではなくってしまった。
◆携帯とギャンブル
固定電話は2002年ごろに、これもまずはパゴダに引かれたが全く広がらなかった。ごく最近になって目を見張るのが携帯電話の普及である。特に今年になってSIMカードの価格が1500チャット(約154円)と従来の100分の1以下になって急速に広まった。
これによって農民は農産物の価格情報を瞬時に取得でき、仲買人にだまされるというようなことがなくなった。左官は、遠くからの注文を受けやすくなった。商売人は商品の注文先を選択することができるようになった。
面白いのがギャンブルである。元来ミャンマーの人たちはギャンブル好きで、昔から違法な賭け事や宝くじが横行していた。これが携帯電話のショートメールで行われるようになったことで、より広い範囲で、テレビのサッカーや野球に関する賭けも含め、より多様性を以て蔓延(まんえん)するようになった。
前回と今回の2回にわたって、ティンダウンジー村の急速なモータリゼーションとエレクトリフィケーションを中心に叙述してきたが、これは、道路の整備と配電網の拡充があっての話である。
ミャンマーにはまだまだ、これらの近代化が進んでいない村の方が多い。今後のインフラ整備の方向性を考えるうえで、この村の事例が参考になるかもしれない。(随時掲載)