実体景気のほうはどうか。中国はことし、実質7%台の経済成長を続けているのだが、李克強首相は党官僚の数字操作が可能なGDPデータを信用せず、運賃収入を元に集計する鉄道貨物輸送量などを重視している。その前年比はグラフにある通り、リーマン後マイナスに落ち込んだあと急回復したが、輸出不振のために12年前半から再びリーマン後と同じように低下した。固定資産投資増の効果で、ことし7~9月にようやくプラスに転じた。
モノの景気を含め、経済崩壊には歯止めがかかったようだが、本格回復にはほど遠い。3中総会での「経済改革」提起は不安の反映だろう。
北京からは党内のあせりの声が漏れ伝わって来る。「経済改革はうまくいかないだろう」「日本からの投資をもっと引き寄せる方法はないか」と、日本の有力者に持ちかける党幹部もいる。先端技術や、製造ノウハウを合弁先の中国企業に提供してくれる日本を頼るほうが現実的との判断が働いている。
党支配の経済モデルに執着する限り市場や社会は安定しない。党幹部はそれを承知だが、利権が優先する。そこで、日本を取り込む作戦に出る公算が大きいのだ。中国側に誘われるまま、対中投資を続ける企業は泥舟に乗る覚悟が必要だろう。(編集委員・田村秀男)