この結果、九州の販売農家戸数当たりの産出額は、677万円と、全国平均506万円を大きく上回った。離農した人々が多い半面、農業の生産性が向上し、1戸当たりの収入は増加したといえる。
環境の変化に適応し、生産性を高める。これがキーワードだった。九州の農家は市場ニーズに即し、商品ラインアップを変化させてきた。
30年前、九州の農業産出額のトップは米(3640億円)だった。
だが現在、1位は野菜(4222億円)だ。鶏(2060億円)、肉用牛(1991億円)が続き、米は1740億円に過ぎない。30年前と比較し、野菜は1.7倍、肉用牛40%増と伸びが目立つ。
米余りを背景に昭和45年、生産調整(減反)が始まった。九州の農家は「漫然と米を作る時代は終わった」と、いち早く対応した。消費量が多く収益性も高い野菜や果実へ転換を進めた。
この結果、イチゴ「博多あまおう」やイチジク「博多蓬莱」のほか「はちべえトマト」(熊本)など、高品質で全国に通用するブランド化に成功した野菜・果実が次々と登場した。
福岡県豊前市の農業、松本克己さん(63)は「減反の補助金もいずれはなくなり、米価が上がる見込みはないと思っていたから、収益性の高いレタスやトウモロコシ、茶の生産に転換してきた。今後も、この流れは続くだろう」と語った。