一方、もともと米作がそれほど盛んではなかった南部九州は、和牛に注力した。
鹿児島や宮崎の和牛は高級食材として、国内市場を席巻するまでに育った。さらに、販路を拡大し、アジアの富裕層をターゲットにした輸出もじわりと拡大している。
両県は芋焼酎の販売増と連動し、原料のサツマイモ栽培も増加した。
ブランド化と6次産業化を進めた結果、宮崎、鹿児島両県の農業産出額は、農業冬の時代にあって8~9%増加した。「勝つ農業」を先駆けて実践したといえる。
民間シンクタンク、九州経済調査協会の南伸太郎研究主査は「九州の農産物は国内他地域への移出が大きく、自動車や半導体など九州の得意分野と同様に『稼ぐ産業』の1つ。今後、就農者を増やし、作物の生産管理を徹底した上で大規模化を図れば、さらなる利益向上が期待できる」と九州農業の潜在能力を評価する。
離農や高齢化など課題が山積するとはいえ、九州のように適応力と競争力をもつ農業は、さらに「勝ち組」となる可能性を秘めている。