イスラエルは高卒率が9割を超え、国内総生産(GDP)比で見た研究開発費は世界最高水準。英語が広く使われるのも、世界を股に掛けるエンジニアには強みだ。第二次世界大戦後、イスラエル建国に伴い旧ソ連などから移り住んだ軍事関連のユダヤ系技術者も多い。米IT関係者は「兵役後に軍隊で学んだ技術を生かして起業する若者もイスラエルでは珍しくなく、ITの裾野が広い」と話す。
米誌フォーブスは「急速に技術革新の巨人となったイスラエルは、シリコンバレーのライバルだ」と指摘する。シリコンバレーに集積する米企業もイスラエルの技術や人材を貪欲に吸収しようと、M&Aだけでなく、現地で自前の拠点も増強している。アップルも昨年に技術開発拠点を開設した。イスラエルでも、米国のブランド企業で一旗揚げようという空気は強い。
「イスラエル詣で」を加速する米企業に触発されてか、韓国や中国など新興国の企業もイスラエルに接近している。同国に半導体などの開発拠点を持つ韓国のサムスン電子はイスラエル企業の買収も模索中だ。