◆人間らしく働ける社会を
ブラック企業の規制は、若者や労働者だけでなく、日本社会にとって緊急課題となっています。
何よりも、若者を「使い捨て」「使いつぶす」働かせ方を放置することは日本社会の未来にとって許されることではありません。
しかも、ブラック企業を放置すれば、日本全体の労働条件の悪化をもたらしてしまいます。
これは一部の特殊な企業だけの問題ではないのです。ブラック企業を放置すれば、そうではない「普通の会社」もブラック企業に淘汰(とうた)されてしまいます。対抗上“ブラックな働き方”を押しつける企業が増えていくことにもなります。
そもそも、ブラック企業がなぜ広がったのでしょうか。それは、雇用の規制緩和によって、働く人の4割が非正規雇用となり、「正社員」の3文字さえつけば、どんな過酷な労働条件でもしがみつかざるを得ない状況が作られてしまったからです。
ところが安倍政権は、労働者派遣法をはじめとする労働法制のさらなる改悪をたくらんでいます。「派遣を常用雇用の代替にしない」という大原則を投げ捨て、正社員を派遣に置き換えることを完全に自由化する法案を来年の通常国会に提出しようとしています。これでは、若者が正社員になる道を一層狭め、ブラック企業を広げることになってしまいます。
ブラック企業での無法な働かせ方を規制する法案の実現を迫ることと一体に、労働法制の規制緩和の流れを転換させて、人間らしい雇用のルールを作りましょう。
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【プロフィル】小池晃
こいけ・あきら 1960年生まれ、東京都出身。東北大学医学部医学科卒。東京勤労者医療会代々木病院などを経て現在、参議院議員、日本共産党副委員長・政策委員長。著書に「どうする 日本の年金」(新日本出版社)など。