■高給取り厳しく
高給取りの会社員には、年収の一部を必要経費とみなし、課税対象から差し引く「給与所得控除」を縮小する。現在は年収1500万円超のサラリーマンには一律で245万円の控除が認められているが、この年収基準を28年1月に1200万円超、29年1月に同1千万円超に下げた上で、控除額を230万円、220万円にそれぞれ減らす。
29年1月以降、夫婦と子供2人の4人家族で、年収が1200万円の場合だと年3万円、1500万円では4万円の所得税や住民税の負担が増える見通しだ。
■接待で押し上げ
消費税増税後の消費の落ち込みに備えて、大企業の接待需要を喚起する施策も盛り込む。資本金1億円超の大企業が接待などで支払う飲食代に限り、交際費の半分までを経費として認め、企業の税負担を小さくする。上限額は設けない。
25年度税制改正では資本金1億円以下の中小企業の交際費は最大800万円まで経費として全額算入できるようにしたが、大企業の交際費は対象外だった。
国税庁調べでは企業交際費は23年度で2・8兆円と4年度の6・2兆円から半分以下まで縮小しており、接待を税制優遇することで景気浮揚につなげる考え。
■地方の格差是正
消費税増税で広がる地方自治体の税収格差も是正する。地方自治体が企業に課している「法人住民税」のうち、年6千億円程度を国税化して、税収の少ない自治体に配り直す。6千億円は法人住民税全体の4分の1に相当する。
税収格差を是正する措置としては、現在、法人事業税の一部を国税化して、税収の少ない地方自治体に配り直す「地方法人特別税」があるが、この再配分の規模を消費税率8%段階では3分の2に縮小し、10%段階では廃止を検討する。