【ビジネスアイコラム】米の関心はTPPより足元の暮らし (1/2ページ)

2013.12.10 05:00

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉に米社会はあまり関心がないらしい-。のっけから、こんなことを書くと、何の冗談を言っているのかと、いぶかしがられるかもしれない。

 目標とする年内の実質合意に向けて交渉が大詰めを迎える中、その進捗(しんちょく)状況が日本では連日大きく報道されており、しかもTPPの旗振り役の米国の動向が交渉の鍵を握るといわれているではないか、と。

 だが、私としてはあながち的外れな指摘をしたつもりもない。時間と興味のある方は、日本でも大きな図書館に置いてあるニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどの米主要紙を手に取り、ここ最近の記事を検索してみてほしい。日本とは逆で、TPPの記事を探し出すのにむしろ苦労するはずだ。新聞だけではない。仕事柄、米主要テレビ局、特にニュース専門チャンネルのCNNをほぼ1日中つけっぱなしにしているが、TPPのニュースが報道されることはめったにない。

 一体、この温度差がどこからくるのか。私もまだ確たる答えはないが、外交・通商筋や議会、産業界の声を見聞していると、おぼろげに背景らしきものが見えてくる。誤解がないように言うと、米メディアも通商問題に関心がないわけではない。米国の巨額の貿易赤字や中国との通商摩擦の記事は、しばしば紙面に顔を出す。だが、経済連携分野となるとさっぱりで、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)交渉の進捗状況がたまに伝えられる程度だ。

 あるシンクタンク関係者によると、FTAなど2国・地域間の通商交渉はまだイメージしやすいが、多国間の貿易枠組みは多くの米国民にとってピンとこないようだという。また米通商筋は「そもそもTPPで米国にメリットがあるのか、むしろ日本の競争力の高い自動車や安価な新興国の製品に米市場を席巻されるのではという不安が根っこにある」と指摘する。米議会でも、TPPで声高に主張しているのは自動車産業などがバックにある議員が目立つ。

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