米国でこのところ強まる内向き志向も気になるところだ。ここ数年続く財政協議の混乱では、政府機関閉鎖やデフォルト(債務不履行)騒ぎが世界を何度も不安に陥れたが、国際社会の非難がまるで耳に入らぬかのように、オバマ政権も議会も政争に明け暮れている。
国民も米景気がこの先も上向くかどうか、自分たちの暮らしがどうなるかが最大の関心だ。それは仕方がないともいえるが、米国駐在歴が長い日本の商社マンは「安全保障でも経済でも、世界の盟主という気概がかつての米国全体に満ちていたが、今は自分の足元しか見えていないようだ」と嘆く。
足取りの重いTPP交渉をどう推進していくか。
オバマ政権の通商政策担当者は、各国の腕利きの交渉官だけでなく、自国民の無関心という、ある意味でより恐ろしい相手とも向き合わねばならないのだ。(産経新聞ワシントン支局 柿内公輔)