日銀が16日発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)は中小企業・非製造業の景況感が約22年ぶりにプラスになるなど、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が、大企業だけでなく幅広く浸透しつつあることを示した。ただ、先行き(3カ月後)の景況感は大企業、中小企業とも足元に比べ悪化した。来年4月の消費税増税を控え企業が慎重な姿勢を見せており、景気の先行きにはなお力強さを欠く。
足元の景況感の改善は、円安の進行を背景にした企業業績の回復がある。企業の想定為替レートは1ドル=96円78銭で前回9月調査に比べ2円以上、円安方向に振れた。自動車や電機メーカーなど海外での売上高比率の大きい企業にとっては、円安は円建てでの収益拡大につながる。
また、内需関連企業も堅調だ。公共投資の拡大を背景に、建設や不動産の景況感が大きく改善した。消費税増税を控えた駆け込み需要が顕在化し、小売業種も堅調だった。
ただ先行きに目を転じると、景況感はやや弱めだ。大企業・全産業の平成25年度の設備投資計画は4・6%増と前回計画から下方修正され、5%前半とされていた市場予測を下回った。
内閣府が9日に発表した7~9月期の国内総生産(GDP)も設備投資の下振れを背景に、年率1・1%増と11月の速報値(1・9%増)から下方修正された。足元の為替水準は企業の想定レートよりも円安だが、一部の新興国を中心に海外経済の先行きに不透明感が漂い、数量ベースでは輸出が伸び悩んでいることが背景にある。
今後は円安傾向が一服し、また来年4月の消費税増税後に個人消費が冷え込むことも予想される。日本経済の本格的な回復に向けては、なお課題も多い。