国内旅行者も例年と比べ3割減少するなど、デモが観光業に与えた損失は40億バーツ(約127億6000万円)以上になるとの試算もある。多くの観光会社が、当面の広告宣伝費の支出を見送り、政治情勢の改善を見定める方針という。
もっとも今回のデモは、座り込みなどはバンコクの省庁周辺地域に限られ、市民生活や社会全体に与える影響は少ない。一時デモ隊に占拠された庁舎での行政手続きが中断した程度で、「企業活動への影響は限定的」(日系企業幹部)との見方がもっぱらだ。
ただ、今年に入り経済成長のテンポが減速したタイ経済にとり、反政府デモの拡大による政情の混迷は、大きな不安要因となっている。
インラック政権は2012年4月、失業率が1%を切る水準で推移するなかで、最低賃金の大幅引き上げを実施した。バンコクなどでは日給215バーツから300バーツに、13年1月からは全国一律で300バーツとなり、企業収益の圧迫につながっている。
12年は洪水後の消費や投資の増加もあり、タイの成長率は6.5%を記録した。だが、13年は海外経済の減速とバーツ高などから輸出が伸びず、製造業などの不調に拍車がかかった。自動車購入時の物品税還付による景気刺激策が終了し、消費も低迷している。