経常収支赤字を補填(ほてん)するとともに、経済成長を促すエンジンとして、外国直接投資の導入拡大が最優先課題と考えられるが、現政権は実際にはその支持者である黒人へのアファーマティブ・アクションを重視し、民間企業に対して、黒人の経済活動への優先的参入を促す姿勢を強めている。13年10月に発表された「黒人の経済活動参入促進法(BB-BEE)」の強化が14年10月に発効予定だが、これは民間企業に黒人の資本参加および経営参加、黒人の雇用などを促すものであり、民間ビジネスへの政府の介入として捉えられ、その分だけ企業にとっての自由度は損なわれる。
南アはサブサハラ・アフリカ最大の市場であり、ヨハネスブルクは最重要のビジネス・ハブだ。資源、エネルギー開発のポテンシャルが高く、高成長を維持するサブサハラ・アフリカ市場を開発する上で、南アを避けて通ることはできないはずだが、ビジネスに対する政府の過度の介入が企業の投資意欲に影を投げかけている。国政選挙を通じて政権基盤を再確立する第2期ズマ政権がより現実的でビジネス・フレンドリーな政策を打ち出すことが切望される。(ジェトロ・ヨハネスブルク事務所 稲葉公彦)