日本酒の輸出拡大を後押しするため、政府が日本酒づくりに適した酒造米を生産調整(減反)の対象外とすることが8日、分かった。政府は主食用米については、平成30年度に減反を廃止することを決めているが、酒造米については先行して26年産米から増産を認める。昨年12月に、和食が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されるなど、海外で広がる和食ブームを契機に、和食に合う日本酒の普及拡大を図る狙いがある。
海外では、日本酒の中でも吟醸酒など高級酒の人気が高まっている。日本酒の輸出額は14年の35億円から24年は89億円へと10年間で約2・5倍に増えた。
日本酒の生産には、主食用米や米菓などにも広く使われる加工用米よりも酒造米が適しているが、これまで酒造米は、主食用米と一緒に減反の対象とされていた。そのため、コメ農家が酒造米を増産するには、主食用米の生産を減らす必要があり、増産は難しかった。
だが、日本酒の輸出増に伴って、酒造米の十分な確保が難しくなっており、輸出に積極的な酒造会社や一部の農家から、増産を認めるように求める声があがっていた。酒造米を主食用米とは別枠にし、実質的に減反の対象から外すことで、酒造米の生産量は25年の約7万トンから大幅に増える見通しだ。