米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の同県名護市辺野古への移設を争点にした名護市長選は、移設反対を掲げた稲嶺進氏が推進派の新人を4千票以上離し、再選を果たした。昨年12月の沖縄県の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事による埋め立て承認で重要な移設手続きは完了しており、安倍晋三政権は移設作業を着実に進める方針だが、稲嶺氏は市長権限で移設を阻止する意向を示し、反対運動が激しくなるのは必至だ。仲井真氏が県内で孤立しないようにすることも迫られる。(半沢尚久、坂本一之)
自民党の河村建夫選対委員長は19日夜、移設推進派の末松文信氏が敗れたことについて「残念だ。候補者決定に時間がかかってしまった」と敗因を分析した。
その上で、辺野古移設について「知事の判断と政府の考えは一致している。沖縄の負担軽減の第一歩と位置づけている」と述べ、方針に変更はないと強調するとともに、引き続き県民に移設への理解を求めていく考えを示した。
政府側も「知事が埋め立ての判断を下した。そこは決定している」(菅義偉(すが・よしひで)官房長官)として、名護市長選の結果に影響されることなく辺野古移設を進める考えだ。
だが、候補者の選定や一本化が遅れたことについて、安倍政権がその調整に手をこまねき、自民党沖縄県連を辺野古移設容認に転じさせることに難航した責任は否定できない。
普天間飛行場の返還にあたり辺野古に建設する代替施設は垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの拠点となる。米海兵隊の地上部隊を戦闘地域に投入するためオスプレイを配備し、沖縄はグアム、ハワイ、オーストラリアと並ぶ戦略拠点でもある。
海と空で力ずくで権益を膨張させようとする中国ににらみを利かせる上で、オスプレイの機能は欠かせない。朝鮮半島有事への備えにも不可欠で、在沖縄海兵隊の抑止力を維持する上で辺野古移設の重要性は極めて高い。