厚生労働省が5日発表した毎月勤労統計調査によると、2013年の現金給与総額(月平均)が3年ぶりに下げ止まるなど、日本経済に明るい兆しが見られた一方、基本給を含む所定内給与は低水準から抜け出せなかった。今春闘が賃上げの流れを作る大きな山場になるとはいえ、経済の好循環を目指す安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の成果が家計に及んでいない実情を浮き彫りにした。
「好循環を実現するため、拡大した企業収益を賃金上昇や雇用拡大につなげていくことが極めて大事だ」。菅義偉官房長官は5日の記者会見で、今春闘での賃上げ実現に期待を示した。
だが、勤労統計調査で示されたのは日本の雇用構造の脆弱(ぜいじゃく)さだ。雇用数の増加にもかかわらず所定内給与が減少し、残業代などの所定外給与が増える傾向は、アベノミクスによって創出された労働需要が企業の「現有戦力」の残業やパートの拡大という形で吸収され、正社員の新規雇用や基本給のベースアップ(ベア)まで回っていない「過渡期」であることを意味する。