「影の銀行」の主体は銀行が簿外で扱う「理財商品」で、このうち2014年に償還を迎える分は4兆元(約67兆円)前後とみられる。その約60%は国債など安全な運用を行っているもようだが、約40%はリスクを伴っている。鈴木氏の推計ではそのリスク分の3分の1、5000億元弱が危険という。30億元とは桁違いの巨額なリスクが年内に顕在化する恐れもある。
「影の銀行」は、地方政府系の投資会社など借り手の資金需要と、富裕層を中心とする高利回りの資産運用ニーズが車の両輪となって拡大したが、「最後は当局が」とのモラルハザードで、“錬金術”を信じ続ける中国の借り手や投資家はアクセルをさらに踏み込みそうだ。
中国は経常黒字国で、「影の銀行」の借り手も投資家もほとんどが国内である以上、理論的には中国の国内問題で国際市場への影響は限定的との見方もある。ただ、世界的な市場マインドの冷え込みは抑えられない。新興国の通貨売りと安全通貨としての日本円の買いで、再び猛烈な円高を招き、日本株下落や世界同時株安の負の連鎖が起きると市場関係者は恐れている。
中国当局には次なるデフォルト懸念を回避するための慎重なハンドルさばきが求められているが、安易な救済策はモラルハザードによる「影の銀行」を肥大させるジレンマも生む。世界第2の経済大国に政策運営の実力がいま、問われている。(産経新聞上海支局長 河崎真澄)