政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)の民間議員が、法人税の税率を引き下げたにもかかわらず税収が増加したドイツや英国など欧州数カ国の事例を分析した提言を出すことが17日、分かった。税率を下げたことで中長期的に企業活動がどのように活性化し、増収を達成したかの成功例が示される見通し。6月に改定される新たな成長戦略の目玉となる法人税率引き下げの具体的な道筋を示し、早期の議論を促す狙いがある。20日の諮問会議に提出される。
法人税の税率を引き下げたにもかかわらず、税収が増加する現象は「法人税のパラドックス(逆説)」といわれる。経済産業省によると、欧州の主要15カ国の法人税率の平均は1998年の36・9%から2007年に28・7%に下がったが、名目国内総生産(GDP)に占める法人税の税収は2・9%から3・2%へと増えた。法人税負担が軽くなったことから企業の国際競争力が回復し、業績改善につながるなどしたためだ。
日本の法人税の実効税率は、東京都の場合で35・64%。30%前後のドイツやフランス、25%の中国や24・2%の韓国などに比べて高く、経団連など経済界は引き下げを求めている。
政府内でも甘利明経済再生担当相が「10%の引き下げが理想的」と話しているほか、安倍首相も法人税改革に意欲的だ。
提言では、法人税の逆説が発生する要因として、大きく分けて、税制改革による課税対象の拡大▽個人企業の法人化▽景気回復に伴う業績改善-の3点が関係していると指摘。
ドイツの例では、法人税率全体を引き下げ企業活動を活発にすると同時に、法人税の課税対象や範囲を拡大したことで、税収増につなげたとしている。