安倍晋三首相が国際会議で公約した法人税率の引き下げ方針をめぐり、関係省庁の駆け引きが始まった。産業政策の立場から実現を急ぎたい甘利明経済再生担当相は24日の記者会見で、6月にもとりまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」に法人税率引き下げ方針を盛り込む考えを示した。これに対し、税収への影響を心配する麻生太郎財務相は早期の決着を牽制(けんせい)。減税財源をどう確保するかを含め、議論は白熱しそうだ。
安倍首相は22日、スイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)での基調講演で各国から参加した経営者らを前に「本年、さらなる法人税改革に着手する」と表明。世界一、企業が立地しやすい環境を整備すると約束した。
甘利経済再生相はこれを受ける形で24日、与党税制調査会とも連携し、「経済財政諮問会議を中心に減税が税収に与える影響を検証して、スケジュール感を詰めていく」方針を示した。「骨太の方針にどう表現できるのか醸成していく」とし、6月までに一定の政府方針とりまとめを目指す構えを見せている。