山西省にある太原武宿国際空港で、旅客機に航空燃料を補給する給油車両(中国新聞社)【拡大】
中国民用航空局は、中国石油化工(シノペック)に国内初のバイオ燃料開発を認可し、国産バイオ燃料が商業化への“切符”を手に入れた。認可されたバイオ燃料は、パーム油と廃食用油が原料。いわゆる「地溝油」(工場の排水溝や下水溝にたまった油を精製した油)で作るバイオ燃料は本当に安全なのか。
◆2年がかりで審査
ここまでの流れを追うと、シノペックは、2011年12月にバイオ燃料の審査を正式に申請。翌年2月に民航局が受理。2年がかりで審査を行い、試験飛行を経て最終報告を出した。海外では、定期便でバイオ燃料を実用化した国もあるが、民航局の徐超群副司長は「中国のバイオ燃料開発は、海外と遜色ない。次のステップでは定期便への応用化を狙う」と話す。
欧米では08年からバイオ燃料の開発が進み、11年には商業飛行も始まった。国際航空運送協会(IATA)は、20年には燃料の30%がバイオ燃料に替わると予測する。徐副司長は「バイオ燃料開発は航空業界発展の鍵。中国が自主開発したことで技術を確立するとともに、排出削減での発言権も強まる」と期待する。
欧州連合(EU)は、12年1月1日から域内を離着陸する航空会社に温室効果ガス排出規制を課す法案を可決しており、中国の航空33社を含む約4000社が影響を受ける。中国は一貫してこの動きに反対していたが、このままでは排出削減の負担が増えるばかりだ。
国内の深刻な石油不足もバイオ燃料開発に拍車をかける。中国は世界第2の航空燃料消費国。燃料需要は世界を上回る年10%以上の伸び率となっている。徐副司長は「開発を進めることで、航空業界が地球温暖化やエネルギー安全保障への対応を考え、国際競争力が向上するきっかけとなる」と話す。