付加価値ベースの貿易統計の考え方【拡大】
韓国の輸出品の4割、中国の3割は「他国製」?!
「付加価値」でみると、日本の貿易統計はかなり特異的だ。09年のデータでは、日本では国内で消費する製品やサービスの付加価値の88%が国内で創出されており、この比率は世界1位。資源が少なく、中間財から完成品の生産までを自ら賄ってきたことから「垂直統合型」と称されてきた日本企業の生産構造が、改めて浮き彫りになった。
付加価値の輸出額を輸出額で割った「輸出付加価値比率」でみても、この傾向は顕著だ。日中韓で比較すると、日本88・8%に対し、中国は69・8%、韓国は59%。日本は国産品を約9割輸出しているのに対し、韓国では約4割、中国は約3割は他国からの付加価値を含んだものを輸出しているということになる。
日本の底力を改めて見る思いだが、「自賄い」が必ずしも良いというわけではない。一貫生産は日本企業の競争力の源泉とされてきたが、新興国の労働の質やコスト改革、情報通信技術の革新などで、世界ではより効率の良い国際分業をすることが「勝利の方程式」となった。OECDも「企業活動の成否は、輸入能力(高品質・低コストの中間財等を世界中から集める能力)にも多くを依存するようになった」と分析している。