2014年度予算の成立を受け、記者会見を行った安倍晋三首相=20日、首相官邸【拡大】
--日本経済が力強い成長を遂げるためには何が必要でしょうか
日本の繁栄を牽引(けんいん)するのは、民間の自由な経済活動にほかなりません。政府は経済成長の足かせとなる増税ではなく、民間主導の成長に向けた環境整備に力を注ぐべきです。まずは、来年10月に予定される消費税率の10%への再引き上げの中止はもちろん、5%への引き下げも検討すべきです。
--与党内では、消費税率の10%への引き上げに向けて、軽減税率の議論が進められています
生活必需品などの消費税率を例外的に引き下げる軽減税率の導入により、消費増税に伴う低所得者の負担を軽減しようとしていますが、適用対象の線引きは難しいのが実情です。日本の消費税に当たる海外の付加価値税をみても、「標準税率」と「軽減税率」の区分けに“苦心”しているようです。
例えばドイツでは、同じハンバーガーを買っても、店内で食べるなら外食として標準税率(19%)が、持ち帰りなら食品として軽減税率(7%)が適用されます。税率の適用をめぐっては不公平感もあり、各国で訴訟も起きているようです。
負担軽減策が必要なら、最初から消費増税をしなければよいのです。社会保障の充実を名目に今回の増税は断行されましたが、高齢化が進展するなか、長い目で見て、増税は日本経済の息を止めることになるでしょう。税収増を図るには、増税ではなく、経済成長に向けた実効性ある政策の遂行を急ぐべきなのです。