これに対し、現在は予算に計上した公共事業費に加え、公共事業を含む5兆5000億円の経済対策を補正予算に盛り込むなど、増税後の落ち込みを和らげる政策を講じている。
「消費税の引き上げによって97年のようなことが起る可能性はまずない」
日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は今年3月11日の記者会見でこう指摘した。麻生太郎財務相も今月28日の会見で「(消費税を)3%から5%に上げたときとは全然違う」と強調した。
前回増税時の97年夏にはアジア通貨危機が発生。秋には山一証券などが相次いで経営破綻するなど、金融危機が重なった。しかし、現在は金融機関の不良債権処理は解消し、「日本の金融システムは世界で最も強い」(メガバンク首脳)状況にある。今後、米国の量的緩和縮小による影響は懸念材料だが、米国経済の堅調な回復で、海外リスクも当時に比べ低いとみられている。(大柳聡庸)