◆安倍首相も売り込み
安倍晋三首相も昨年12月、来日したマレーシアのナジブ氏に日本の新幹線技術導入を求めた。JR東日本は13年3月、アジアの事業拠点としてシンガポールに事務所を開設して情報収集を進めており、シンガポール政府による高速鉄道の事業化調査公募にも「高い関心を持っている」と力を込める。
最大の課題は、400億リンギット(約1兆2600億円)とも試算される費用の調達だ。マレーシア政府は民間資金を活用する方式を想定しているが、巨額投資だけに、厳格な事業化調査が大前提となる。双方でそれぞれ行っている入国管理の1カ所への集約、ジョホール水道にかかる2本の橋の拡張やトンネルの新設など、高速鉄道計画を実現するための課題は多い。両政府が政治的な判断を円滑にできるかが、計画の成否を左右しそうだ。(シンガポール 吉村英輝)