パヤー(寺院)の周辺に並ぶカドーブェ店。恰幅のよい麦わら帽子の男性やカメラの方を向いている女性は店主たちで、マ・トゥー・ス・チェーのメンバーである(高橋昭雄氏撮影)【拡大】
マ・トゥーは毎日掛け金を集めるだけでなく、掛け金の盗難や紛失、メンバーの中途脱退など、さまざまなリスクに関するすべての責任を一身に負う。すなわち構成員同士の信頼関係は一切不必要であり、この金融講の成立と存続は、メンバー一人一人がマ・トゥーを信用するかどうかのみにかかっている。極端な話、構成員が互いに顔を知っている必要さえない。事実、この村にはチャウセーの町のス・チェーに加入している者もいるが、組織者以外のメンバーの名前さえ知らないという。
金貸しが金持ちだけを対象に組織し、構成員はお互いの顔さえ知らず、貧乏人はこの金を元手にした高利貸に苦しむ、というようなス・チェーがはたして互助組織といえるのだろうか。貧困削減に役立つのだろうか。ミャンマー農村の事例から、回転型貯蓄信用講の別の側面がみえてくる。