ティラワSEZから移転した住民らの新しい住居。電気は通ったが井戸水の質が悪く、改善中だという(JICA提供)【拡大】
■住民から不満「補償不十分」
日本とミャンマー両国によるヤンゴン近郊のティラワ経済特区(SEZ)の早期開発区域(クラスA、420ヘクタール)の造成工事が本格化するなか、現地では残る約2000ヘクタールの開発に向け、4月下旬、住民らへの補償を含む説明・協議会が2日間にわたって開催された。早期開発区域内では81世帯のうち80世帯の移転が終わっているが、住民からは補償が不十分だとして不満の声が上がる。残る2000ヘクタールの地域に住む農民らは約4500人(現地非政府組織幹部)ともいわれ、移転交渉は一段と難航しそうだ。
早期開発区域をめぐっては、日本、ミャンマーそれぞれの民間企業とミャンマー政府のティラワ開発委員会、それに国際協力機構(JICA)の4者が出資する特別目的会社、ミャンマー日本ティラワ開発会社(MJTD)が開発、販売、運営を担当する。
◆農民ら権利を主張
もともと、ティラワ地区ではすでに1990年代に一部で開発が行われたこともあり、当初、ミャンマー側はSEZとして予定している約2400ヘクタールの土地収用は済んだと説明していた。実際、軍政時代に土地収用と補償は一部で行われたものの、その後20年近い時間が経過、新たな農民らの流入などで住民構成は大きく変化した。
さらに、テイン・セイン政権による民主化で、農民らが権利を主張するようになる。2013年1月、ヤンゴン管区政府が早期立ち退きを農民らに指示し、従わなければ強制措置を執ると通知した。
当時、第2期開発地域の2000ヘクタールの地域に住む農民代表を取材したが、彼は「これまで3回移転させられたが、ろくに補償はもらえなかった。今回はそうはいかない」と、納税証明書や農地法の本などを広げて、適正な補償を受ける権利を主張したものだ。