日本と北朝鮮が日本人拉致被害者らの再調査で合意したことについて、米韓では金正恩(キム・ジョンウン)体制への対処に向けた国際連携が綻(ほころ)びかねないとの懸念も浮上した。中国も、東アジアでの孤立化を避けたい立場から「日朝接近」に「大きな関心」(外交関係者)を抱いている。(ソウル 加藤達也、ワシントン 青木伸行、北京 矢板明夫)
韓国ではニュース専門局のYTNが安倍晋三首相の記者発表を予告し、首相官邸で記者団に囲まれる様子を生中継した。
韓国の外交筋は今回の日朝協議の前から「拉致問題の解決に韓国政府は協力していく」と、表向きは歓迎の姿勢を見せてきた。だが肝心の日韓の連携は歴史問題をめぐる摩擦などで万全とはいえない。
朴槿恵(パク・クネ)大統領は今年に入って「統一」を前面に出し、南北問題での取り組みをアピールするが、具体的成果は上がっていない。
旅客船沈没事故の余波で内政も混乱し、対北朝鮮政策に本腰が入らない中で、今回の日朝の動向が朴政権の対北政策に「困惑と動揺」をもたらす可能性もある。
米政府は、北朝鮮の核・ミサイル開発への対処で関係国の結束を堅持する観点から、今回の合意を警戒しているとみられる。米政府は、北朝鮮が新たに核実験を強行した場合、追加制裁を科す構えを見せている。一方で、拉致問題解決へ向けた日本政府の取り組みを支持してきており、制裁緩和の動きとの間にジレンマを抱える。