多くの人々でにぎわう山西省太原市にある薬局。処方薬のネット販売規制緩和の検討が始まり、医薬品業界の期待は高まっている(中国新聞社)【拡大】
中国国家食品薬品監督管理総局(国家食薬総局)はこのほど「インターネット食品医薬品経営監督管理弁法」の素案を発表し、業界関係者や専門家からの意見の募集を開始した。素案には、医療用医薬品(医師の処方箋が必要な医薬品、処方薬)のネット販売を解禁すると同時に、郵送や宅配業者による医薬品の配送も認めるといった規制緩和案が盛り込まれている。
◆薬剤師配置が条件
これまで医薬品の監督当局は、安全性を考慮してネット販売には慎重な姿勢を崩さなかった。中でも処方薬については、ネット薬局での販売を完全に禁止し、医療機関に対しても郵送による受け渡しやネット販売を禁じてきた。
だが今回の規制緩和案では、ネット薬局が薬剤師を使ったオンライン薬事サービスを行うことを条件に、処方薬の販売を認めることを打ち出した。監督当局が処方薬のネット販売解禁に向けて大きくかじを切った形だ。
中国最大の医薬品電子商取引(EC)企業である九州通医薬集団傘下でネット薬局「好薬師」を展開する北京好薬師大薬房の李彩芬副総経理は「実現に向けて障壁は徐々に取り除かれている」と評価。その上で「好薬師は今年1~3月期から処方薬のネット販売準備に着手しており、オンライン専用の薬剤師を8人そろえ、数千種類の処方薬を仕入れた。後は具体的な販売手順などの正式発表を待つだけだ」と明かす。
ある証券会社の研究報告によると、処方薬のネット販売解禁は、医薬品EC市場が一般用医薬品(OTC)だけの2000億元(約3兆2840億円)市場から、OTCと処方薬を合わせた1兆元近くの市場に拡大することを意味し、3兆元規模の一大健康市場が形成されることになる。
新薬や慢性疾患治療薬などは高価なうえ、患者が継続して服用するものもあり、販売側にとって固定客を獲得しやすく、客単価の上昇にもつながるという。