中国政府系ファンドの日本株保有状況【拡大】
OD05は信託名義で、実際の投資主体は不明だが、市場では「中国投資(CIC)」などの政府系ファンドとみられている。中国では、簿外融資や高利回りの財テク商品など「影の銀行」問題があり、不動産バブルの崩壊懸念もくすぶる。こうしたリスクへの対処策の一環として、資金を引き揚げたとの観測が出ている。
ただ富士重工業(3月末で7位)や三井金属(6位)など業績好調な企業を中心に継続保有しており、日本株の中で選別を強めているとの見方もある。
一方で、「大量の株が売買された形跡がない」(RFSマネジメントの田代秀敏チーフエコノミスト)ことから、名義を変更したとの見方も根強い。確かにOD05が大株主から消えた企業のいくつかでは、新たに「バンクオブニューヨーク」など他の信託名義の大株主が登場している。
田代氏は、金融当局との関係などを考慮し、旧名義でオーストラリアだった所在地を新名義のベルギーに移した可能性を指摘する。実態を分かりにくくするためとの見方もあるが「もともと、隠そうと思えばできるのにそうしてこなかったのは“沈黙の大株主”として、株式市場に無言の圧力をかけるためではないか」と否定している。