6月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇幅は消費税増税の影響を除くと前年同月比1.3%となり、4月の1.5%をピークに鈍化している。円安による物価押し上げ効果が一巡する中、「当面1%台前半を維持し、今年度後半に再上昇に転じる」(黒田東彦(はるひこ)総裁)という日銀のシナリオ通りに推移するには、賃金の引き上げによる消費回復が欠かせないが、企業は一段の賃上げに慎重な姿勢を見せている。
夏のボーナス商戦に向けてテレビの新商品が発売されるなど、「高付加価値品の投入で家電の価格が上昇している」(白物家電販売の日立アプライアンス)。シニア層を中心に高価格帯のコーヒー需要が拡大している味の素ゼネラルフーヅの横山敬一社長は「嗜好(しこう)品は価格が上昇しても売れ行きは落ちない」と話す。
6月の物価上昇率が5月より緩やかになったのは、昨年に電気・ガス代が大幅値上がりした反動が出たからだ。ただ、食料とエネルギーを除くと上昇率は0.6%と5月の0.5%より高まっている。日銀の中曽宏副総裁は23日に静岡市で講演し、「デフレの制圧が視野に入ってきた」と自信を示した。
しかし、日銀のシナリオには不安が残る。物価を押し上げてきた円安や原油価格の上昇による効果が薄れ、物価上昇の勢いが弱まるとみられているからだ。市場では今夏に物価上昇率が1%を下回り、2015年度も1%台前半にとどまるとの見方もある。