労働需給の引き締まりが所得環境の改善を促し、内需の回復基調が続く-。これが日銀が想定する今年度後半にかけての物価再上昇の前提だ。しかし、今春闘で賃金やボーナス引き上げを主導した自動車業界には「物価上昇分を賃金に反映させたいが、競争環境が熾烈(しれつ)になっており、慎重にならざるを得ない」(大手)との声が出ている。
物価上昇に賃金の上昇が追いつかず、実質賃金が目減りすれば、個人消費の下押しになる。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は「物価上昇は続くだろうが、懸念は(不況下で物価が上がる)スタグフレーションの可能性があることだ」と話す。
日銀が目指す15年前後の物価上昇率2%を達成するには、企業業績拡大が所得の増加を通して個人消費拡大につながるという景気の好循環を作る必要がある。夏場以降に企業が賃上げをどこまで浸透させられるかが、鍵を握りそうだ。