このような欧米各国の取り組みは着実に功を奏している。司法改革一つ取ってみても、中国では近年、死刑判決の数が減り、死刑適用罪名の大幅引き下げ、裁判の適正化、容疑者の権利保護などの改善が見られた。言論の自由に関しては、まだまだ締め付けが厳しいが、欧米諸国による新聞記者招待事業を通じて、報道人の意識改革が進み、40年前の毛沢東時代に比べたら隔世の感がするほど開放的になったのは事実である。
秋に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を機に日中首脳会談が実現すれば、今後の日中関係のリセットが課題に上るだろう。その新しい関係を構築する際、今までの軍事的、感情的対峙(たいじ)は一朝一夕ではなくならないが、せめてそれらと平行した形で上記のEU諸国の地道な取り組みも検討されれば、長期的に日中関係の改善、ひいてはアジア全体の緊張緩和にも貢献するであろう。